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2月6日、チェリャビンスク以来最大の火球が南大西洋上に出現

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最近隕石ネタが多いスラド「2月6日、南大西洋に隕石が落下していた。爆発規模は原爆と同レベル」より


2月6日14時(UTC)、南大西洋中、ブラジルから約1000km離れた場所に隕石が落下し大きな爆発が発生したそうだ。爆発規模はTNT火薬換算で13000トンという規模だったそうで、広島に落とされた原爆(15000トン相当)とほぼ同規模だという。隕石が落下したのは海上だったためそれを実際に見た人はいないようだが、軍事用観測機などで爆発が確認されたとのこと(MailOnlineNASAの観測ページ)。(タレこみの文章がおかしいところ、出典元リンクを編集済み)

相変わらずスラドのコメント欄が「隕石が脱化する?」とか「TNTで換算されても」みたいなコメントで埋め尽くされていますが、タレこみはデイリーメールソースの2ちゃんねるを元に編集したようです。デイリーメールの記事を読めば「見た人がいない」のはよくある話で NASA が発表したタイミング(発生してから数週間後)まで誰も話題にしなかったことを指し、「軍事用観測機などで爆発が確認された」とあるのは、おそらく軍事衛星で火球の爆発の瞬間をとらえたことを指すのでしょう。

火球が発生した場所

なにせ米本土から遠く離れた南大西洋ですから、NASA のページが説明する 'by U.S. Government sensors' は軍事衛星の可能性が大きいでしょう。ちなみに算出された衝撃エネルギーの合計は 13キロトンで、そこから導き出される隕石の大きさは推定 5~7メートル。

チェリャビンスクの大火球では爆発時の衝撃波によるガラス破損などで大勢のけが人が出ましたが、NASA の発表ではその時の衝撃エネルギーが440キロトンと計算されているので、30分の1程度の威力だったと。

NASA 火球リスト
Fireball and Bolide Reportsより

NASA によれば、この手の大火球の出現イベントは平均すると年に数回程度地球上のどこかで起きているとのこと。上記のリストはあくまで米国政府のセンサーで探知できた火球を NASA がリストアップしたもので、地球上で起きるすべての火球を網羅しているものではありません。

誤解のないように書くと、火球自体は天文イベントの一種で、僕も一度しし座流星群の時に遭遇したことがあります。地球外から飛来した小天体が地球大気圏で燃え尽きるときに、巨大な流れ星となってパッと昼間かと思うほど巨大な光が夜空に輝くものです。

今回のイベントも高度31キロメートルの成層圏で爆発が生じたそうで、通常は大気圏で燃え尽きるときに起こる衝撃波でバラバラになるため、小さな破片が海に落ちたとしても津波が起きる心配はありません。今回スラドのように「隕石が南大西洋に落ちた」風の見出しを掲げる日本語の記事がとても多いですが、間抜けな読者のミスリードを狙う釣りタイトルとしか思えません。

まして発生時刻が 1355UTC で南大西洋上で起きたなら、巨大な閃光に誰も気づかなかくても無理ありません。だって真昼間に起きたのですから。火球によって発生する閃光よりさらに強力な光が太陽から降り注いでいますから。

とはいえ世の中には「平均すれば1万年に1回日本付近のどこかで起こる」と言われるカルデラ噴火ですら「自分の生涯中に必ず鹿児島で起きる」と信じおののいている方もいらっしゃいますからね、そういう人たちはきっと噴火より高頻度な隕石の衝突イベントに対しては万全の対策を講じていらっしゃるのでしょう。

そうそうどんな些細なリスクも見逃せない方に、耳寄りなお知らせが。

なぜか今回スラドで話題になっていませんが、近々チェリャビンスクに降った火球より大きい直径30メートルと推定される小惑星2013 TX68 が地球とニアミスする予定です。最接近時の距離(推定)は「静止軌道衛星の高度の約半分である1万7000キロから、月までの距離の35倍ほどの1400万キロ」(ナショナルジオグラフィック)。最接近時の距離に幅があるのは軌道データを取得する機会が短かったからですが、「世の中に絶対はない」と思う方々は週末引きこもっていたほうがよいかもしれません(笑)

Credits: NASA/JPL-Caltech
出典(Credits: NASA/JPL-Caltech)

なお米国時間2月25日に発表された Small Asteroid to Pass Close to Earth March 8 によりますと、NASA's Center for Near-Earth Object Studies (CNEOS) による最新の所見では小惑星 2013 TX68 が地球に最接近するのは3月8日で、距離は500万キロになる見通しです。そして今世紀中この小惑星が地球に衝突する可能性は遠のいた模様。

でも「世の中に絶対はない」と言う人たちは(以下略

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