2017年9月3日12時31分ごろ(日本時間)、北朝鮮を震源とする自然地震ではない地震が発生した(USGSの発表)。内閣官房記者会見によれば、「当該地震は平成29年9月3日12時29分57秒、地震の震源は北緯41.3度、東経129.1度、深さ0km、地震の規模はマグニチュード6.1とされています(気象庁報道発表第1報)」。
# マグニチュードの数字が異なるのは、USGSがモーメントマグニチュード(Mw)を採用している一方、気象庁は気象庁マグニチュード(Mj)を採用しているから。
後刻気象庁が発表したところによれば、今回観測された震動波形と過去の核実験時の地震波や自然地震(平成14年4月17日M4.6)の震動波形を比較した結果、「今回の震動波形はS波が不明瞭であるなど、過去にこの地域で観測された震動波形と類似した特徴があり、これらの波形の比較で見れば、今回の地震が自然地震ではない可能性があります」。
気象庁発表の牡丹江観測点の震動波形(振幅スケールを統一)
Lassina Zerbo@SinaZerbo
Unusual #Seismic signal larger than prior declared tests #DPRK. Auto-Detection by 34 #IMS stations so far: Work in progress #CTBT Analysts.
2017年09月03日 13:23
小林励司 Reiji KOBAYASHI@reijikan
気象庁「過去の地震と比べても10倍は大きい」 | NHKニュース https://t.co/jxcm37UcD9
2017年09月03日 14:51
今回の地震波形の振幅の大きさをみても、北朝鮮が行った核実験の中で最大規模と言われるのに納得です。
ところで中国地震局がほぼ同じ場所で8分後に陥没による別の地震があったと発表していますが、気象庁は日本テレビの取材に対し「気象庁としては、2度の地震は観測していない」 と述べた模様(日テレNEWS24)。
防災科研の高解像度版100トレース連続波形画像をみると、12時33分ごろに日本全国で記録された振幅のあと、12時40分過ぎに北海道南部から青森県にかけて再び振幅が記録されているようですが、広域にあらわれているわけではないところをみると、そのあたりで起きた無感地震でしょうね(箱根の地震を追っかけていたときに取得した防災科研のログインIDは失効しているので調べる気なし)。
ただし気象庁の否定報道とはうらはらに、世界では2度目の震動が何かで議論されている模様。
佐藤博文@hirofumisato3
@SciCafeShizuoka はいM6.3は米国も確認しているので間違いないです。後のは実験場崩壊かブーストの誤爆という説で議論になっています。
2017年09月03日 14:17
Lassina Zerbo@SinaZerbo
Update #DPRK #CTBT #IMS : Subsequent #Aftershock at same location 2 units of magnitude smaller 8 1/2 mins after main event!
2017年09月03日 15:18
Jascha Polet@CPPGeophysics
M4.1 event, 8.5 min after nuclear test, probably collapse of tunnel or cavity, can also (just) be seen on nearby se… https://t.co/Ai2M7zLxKk
2017年09月03日 15:28
2度目の核実験ではないにしろ、トンネルか空洞の崩壊か、核実験場の地形が大きく崩れる事件は起きたようですね。
さて今回の実験の規模について、ノルウェーの地震研究所は「TNT換算で120キロトン」という推定値を発表していますが、気になるのは北朝鮮メディアが伝えた水爆製造の報道でしょう。
核兵器兵器化において一大転換を巻き起こすことに関する朝鮮労働党の戦略的意図に合わせ、細菌、より高い段階の核兵器を研究制作する誇らしい成果を達成しました。敬愛する最高領導者同志は、新たに製作した大陸間弾道弾ロケット弾頭部に装着する水素弾をご覧になりました。敬愛する最高領導者同志は、本当に立派だ、我々の力と技術で作り出した超強度爆発力をもった主体式熱兵器を直接見ると、高い代価を払いながらも核兵力強化の道を屈することなく歩んできたやりがいを感じる。我々の科学者が党で決心すれば、できないことはないと、喜びを禁じ得ないご様子でした。―日本語字幕より
まさか水爆実験を行ったのか・・・そのとおりだったようです。
北朝鮮で強い揺れ、「水爆実験に完全成功」と国営テレビ - BBCニュース
朝鮮中央テレビは「重大報道」として、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載のため、水爆実験に完全成功した」と発表。「前例のないほど強力な爆弾」による実験で、核物質などの外部流出はなかったと説明した。また最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長が核実験の命令書に署名しているように見える映像を放送した。
(中略)
KCNAは、「より高度な核兵器の開発に最近成功した」と伝え、金委員長が「新しいICBM(大陸間弾道ミサイル)に搭載される水爆を観察した」と説明。爆弾については、「高い高度でも爆発させられる、非常に大きな破壊力の多機能熱核兵器」と書いている。
各国の核兵器専門家たちは、北朝鮮の核兵器能力は前進しているものの、ミサイル搭載が可能なほど核弾頭の小型化に成功したかどうかは不明だとみている。水爆開発に成功したという北朝鮮の主張についても、疑問視されている。
(英語記事 North Korea: Tremor detected in sign of possible nuclear test)
なるほど爆発威力からして実験は成功したかもしれないが、核弾頭の小型化が達成できたかどうかはこの実験からでは分かりませんね。
アメリカ本土を狙える核ミサイルの技術開発が完成させないためにも、いつか必ずアメリカは北朝鮮本土を空爆するとみられていますが、北朝鮮の核開発には中国もいらだちを隠せないだけに、さらに緊迫する朝鮮半島情勢がどう変わるか注目です。
【9/4 19:53追記】本当かどうか分かりませんが、アメリカが北朝鮮本土を空爆するXデーは9月9日の共和国創建日かそれ以前に電撃的に行われるのではという見方が浮上しています。
また昨日の核実験についてはまだ分析中だと思いますが、 中央日報ソースの韓国合同参謀本部 曰く「今回の核実験の規模を50-160キロトン程度で、ブースト型核分裂爆弾レベルと評価 」で、青山繁晴氏も同じものを指す「強化原爆」という表現を使われていました。つまりまだ水爆の脅威を考える必要はないと。
【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」@nose_anpo
《スタッフ(松》FNNニュースウェブに「みんなのニュース」の能勢解説委員部分が紹介されました↓ https://t.co/gSBH9KQQWO #週刊安全保障 で岡部いさく先生が書下ろしてくださった水爆の構造説明イラストと北朝鮮が公開した画像が酷似しています。 #週刊安全保障
2017年09月03日 18:56
水爆実験の可能性については、FNNニュースウェブでも紹介されていましたが、北朝鮮の開発計画が爆縮型の原爆から「プライマリーの原爆の方の力を使って、セカンダリーの核融合物質のエネルギーを取り出す水爆」を目指すように変わったとしているものの、今回の実験でここまで小型化したものが爆発できたかは分からないと指摘。
「分からない、では不安」という人もたしかにいますが、過去の核実験においてもさんざん嘘をつき続けたきた国ですからね。アメリカに届くようなロケット技術をもち、核実験を何度もしているからという理由で、核ミサイルを持っていると考えるのは馬鹿げていますね。
# ただし今回の核実験後にトンネル崩落か地滑りを誘発したとすれば、これ以上の核実験は行えなかった可能性もありますが、それでも核実験ができたというのはミサイルの小型化を意味するものではありません。
北朝鮮が述べたEMP攻撃についても然りですが、これについては以前書きました。低軌道の人工衛星は破壊できる能力は持ちつつあっても、半径数百キロメートル内の地上にある電子機器や送電網を一網打尽にするにはまだまだでしょう。
【9/5 2:20追記】9月9日は「アメリカが北朝鮮本土を空爆するXデー」となるかもという話をさっき書いたら、逆に北朝鮮が再び弾道ミサイル実験をするかもという噂が韓国内から流れてきました。
国情院は、北朝鮮が今回の核実験に対する国際社会の対応を注視しており、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行う可能性に加え、中距離弾道ミサイル「火星12」、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の「火星14」などを通常の角度で発射する可能性があると指摘した。
新たな経済制裁が発動される前に、自暴自棄になった北朝鮮がなりふりかまわず、しかも一触即発の事態を呼ぶ可能性が高まる通常角度での発射になるかもしれないという観測まで飛び出す始末。北朝鮮工作員が巣食っている韓国で、どこまで信用できるかという話でもありますが、窮鼠猫を咬むという最悪の事態も起こりかねない・・・。