翌朝3時前に目を覚まし、地下の風呂にいって、マッサージチェアに身を沈めてきた(小田原のコロナの湯でいつもお世話になっている日本メディック「あんま王」)。これがあったのは非常に良かったが、残念ながらカプセル内にコンセントの類がひとつもなくてスマートフォンの充電ができないことから、明け方近所のネットカフェ自遊空間いわき平店に徒歩で移動した。
いわき平店は駅前から約2kmがあったが、その辺はポケモンGoをやりつつ楽しく移動。
なおいわき平店について Google Map の評価では「個室が狭い」とあったが、ふつうこんなものじゃないの。客が使えるコンセントがあるので充電をしつつ、フリードリンクのホットコーヒーを飲みながら、新聞「福島民報」をひろげた(ネットカフェにある DELL の PC なんか使いたくない)。
この日の一面は福島で生産される農作物や海産物でここ数年「放射性物質基準値」超えが見出されておらず、会津産の野生キノコの初の解除も最終協議中だという。この数字で福島県産の安全性をアピールをしたいということなのだが、福島県産を避ける人たちが買わないのは「放射能検査をしているから」という理不尽な理由なのでね(笑)。基準値を超えると「ただちに影響はない」が、何らかの悪影響は必ずあると信じている、頭の悪い誤解を解く方が先だと思う。
頭の悪い人たちは2015年の箱根山の活動で環境基準を超えた二酸化硫黄(1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下である)が検出された時も大騒ぎして「箱根に行かない」宣言していたのだが、1時間値 0.1ppmでは健常者に影響はない。
ちなみに今の大涌谷園地では瞬間的に 0.2ppm を超えると濃度の上昇に注意してくださいという旨の放送が流れる(そういえばロープウェイが全線開通したというのに大涌谷の話の続きを書いていなかったな)。
福島民報に話を戻すと、5日の県内各地の環境放射線量測定値の一覧があった。かなり大きな囲みで、しかも避難勧告が出されているところからそうでないところまで詳細な一覧が福島県らしい。
さて今日は浪江駅から福島第一原発が望めるらしい浪江町請戸海水浴場に行くことにするが、富岡駅まで昨日と同じルートをたどるのもアレなので、青春18きっぷは使わずに新常磐交通の急行富岡駅行きに乗車することにした。そのためタクシーでいわき駅に向かったが、運転手さんいわく「警戒区域は信号待ちがなく停車することがないのでスムーズですよ」と。なお再び訪れる(かもしれない)時のために、6日に撮った写真は時系列で並べている。
いわき駅前7番バス停に定員12人乗りとおぼしきかわいいバスが待っていた。乗務員同士が競輪の話で盛り上がっていたが、出発前にそのうちの一人が下りると、僕ひとりだけを乗せてバスは出発した。
バスはいわき市街を抜けて国道6号線へ入る。
江の網トンネル手前(1枚目)。久ノ浜・波立(2枚目)。最近露頭をみるとワクワクしてしょうがないのだが、調べはじめるときりがないので後にする(砂と砂浜の地域誌(17)福島県いわき地区の砂と浜)。バスは東日本大震災で被災した旧道を通ったとだけ書いておく。
おいでよ相双@oideyo_soso
相双においでよ 楢葉町の豚壱さんで豚丼を食べよう
2017年03月30日 11:05
Jヴィレッジ入口を過ぎると、道の駅「ならは」の手前にあった噂の「豚壱」。昨夜からろくに食べていないので気になるが、まだ営業時間ではなかった。
# AmebaブログのTwitter 検索で「豚壱」を検索すると「壱六屋」とか「豚しゃぶカレー」が引っかかるのが謎仕様
休館中の道の駅「ならは」(9:32着)に路線バスがなぜ立ち寄るかといえば、ここは今双葉警察署の臨時庁舎になっているからか。なお楢葉町によると、警察署はそのままに、温泉棟は今年度中に工事を実施して再開したいとのこと(福島民報)。
楢葉町役場 9:38 着。郵便局のほか食堂もある「ここなら商店街」が併設されていた。
役場をすぎた先にある6年間朽ち果てるだけの店と、震災後オープンしたファミリーマート楢葉町上繁岡店。
その後表土をはぎとる除染の為なのかむき出しになった丘をみかけたが、福島第二原発より南に位置する楢葉町内でそこまでする必要があったのだろうか。ここまでやってしまうと、大雨が降った時の土砂崩れの方が現実的だし、もとの林に戻るには放射性セシウムの半減期よりも長い時間がかかるということに思いが至らなかったのか。
それから太陽光発電設備を多く見かけたが、ビルや屋根にとりつけるならまだしも、田畑をつぶして設置する小規模の太陽光パネルは、田舎の風景にそぐわない。
5日も見かけた常磐線竜田―富岡駅間の不通区間では6日も作業が行われていた。なお4枚目は富岡町内に2016年4月にオープンしたセブンイレブン富岡上郡山店(福島民報)。24時間営業ではなく、午前6時から午後8時まで。おっとセブンイレブンなら、そこは午前7時から午後11時だろ(笑)
こちらは「がんばろう富岡町」がまぶしい2本の煙突のある白いテントは震災がれきや片づけゴミの焼却減容施設。環境省が発注した富岡町対策地域内廃棄物処理業務(破砕選別,減容化処理等)をMHIEC・鹿島・MHI共同企業体が受注したため、鹿島と三菱重工のロゴが入っている。建設1年・運転2年・解体1年の4年間のプロジェクトなので、来年3月にこのテントはなくなる予定(April 2015:THE SITE | KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社)。
http://www.kajima.com/tech/c_great_east_japan_earthquake/waste/waste03/index.html
MHIEC(三菱重工環境・化学エンジニアリング) が焼却施設の設計・運用を、MHI(三菱重工)が放射線管理・モニタリングをし、鹿島がそれ以外を一手に担当しているという。
この施設のおかげでずいぶん片付いてきたであろう富岡町内。
なお1枚目のツルハドラッグはさくらモール富岡内にて営業を開始している。それから2枚目は富岡町小浜交差点であるが、「ここから帰還困難区域」の看板はずいぶん手前から予告されていて、初めて来る人にとっては混乱のもと(しょうじき5日夜ノ森に歩いていくときも戸惑った)。
富岡駅 9:55 着。なおいわき駅前から富岡駅前までの運賃は 1350 円だった。急行富岡駅行きは午前中3本(日・祝日は運休)で、復路の富岡駅発いわき駅行きは午後3本(日・祝日は運休)となっている。広野町役場入口、道の駅ならは、楢葉町役場、月の下、さくらモール・診療所前、曲田住宅、富岡駅前の順に停車する(乗降客があれば)。
自販機すらない富岡駅であてもなくブラブラしている(写真は5日の富岡町編に上げた)と、富岡駅前 10:25 発の原ノ町駅行きの JR 代行バスがやってきた。
しかし今日は青春18きっぷを使うつもりでないし、見ての通り富岡駅には券売機すらないのでガイドさんに切符がない旨を伝えると、富岡駅の乗車証明書を発行してくれた(これをもって降車駅で精算してくださいとのこと)。
バスはほぼ9割近く埋まっていたが、前方の写真が撮れそうな席に座る。なおバスには「車内での撮影はマナーとモラルを守りましょう」という張り紙があった。
バスはすぐに国道6号にのったが、国道6号はどこから歩行者通行禁止なのか分からなかった。バスに乗って帰還困難区域の景色であることが実感できたのは大熊町内に入ってからだ。
ガードレールの間口にはシャッターが並び、黄色の点滅信号だけがともる世界。6年間手入れされない田畑には草が生い茂り、荒れ果てた感が漂う。
ただ国道に車が走っているせいで、一見すると通りにあるお店は営業しているかのような錯覚さえ起きる。もちろん通行人はいないし、店もやっていない。ただし駐停車禁止の国道の路肩で停車している車をまれに見かけたのは謎だ。
ここで2016年夏に調査された「帰還困難区域等を対象とした詳細モニタリング」の結果を紹介しておく。
大熊町だと「大熊選果場前」や小入野付近か。土地勘がないので冒頭で紹介した新聞記事のモニタリング地点とどうリンクするのか分からないのが残念だ。
一方写真も撮ることなく呆然と通り過ぎてしまった双葉町であるが、
Google map で調べてみると、調査地点の中では国道6号線「寺内前交差点」から先が高いらしい。たしかに草に埋もれた右のファミリーマートは見かけた覚えがある。
なお福島民友で連載されている「坪倉先生の放射線教室」によると、
東京電力福島第1原発近くの国道6号を使い、楢葉町から南相馬市まで40キロ強を車で通行した場合、片道の被ばく量は1.2マイクロシーベルトです(2014年の測定結果)。これは胸のレントゲン撮影による被ばく量の50分の1、成田空港から米国まで飛行機で往復する際に宇宙から浴びる被ばく量の100分の1以下です。
たとえ想像以上の線量のエリアを通過しても車で通りすぎるならまったく問題ないレベル。
朝日新聞デジタルや週刊プレイボーイが不安を煽るために使うのは瞬間的に通り過ぎる「区間最大値」だからね。国道6号線に車が走ることで放射能汚染が拡散するなんて書く前に、そもそも毎日被災地を風や雨雲が通り抜けて放射能汚染は薄まっていることに気づかないなんて相当馬鹿だけどね(笑)
とはいえ帰還困難区域を30分バスで通り過ぎられたのは衝撃的な経験だった。住民の方にとっては複雑な心境であろうが、よそ者にとってはいろいろ考える機会になる。つまらない被ばくを恐れず多くの人が被災地を訪れることを望みたい。
さてバスは 10:55 に浪江駅に着いた。接続する電車がないため、ここで下りたのは十人程度だった。
JR代行バスに乗るためにもらった「乗車駅証明書」を使って常磐線富岡駅ー浪江駅までの料金を支払おうと思ったが、近距離きっぷ運賃表に富岡駅はなく、駅員が来るのは11時15分だという。どうせ再び駅に戻ってくるわけだからと、後回しにして浪江の街を歩いてみることにした。
浪江駅前には「高原の駅よさようなら誕生の駅」という記念碑があって指定した位置に立つと曲が大音量で流れる。しかしここは高原ではないしと不思議がっていたら、なんと作曲者佐々木俊一の出身地だという。しかも戦後のヒット曲らしいのだが、世代が違すぎてまったく知らない(みんゆうNet)。
# 邦楽は「きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ」しか聴かないし(ぉぃ)
浪江の駅前は新聞屋以外で営業してそうな雰囲気はなく、工事をしているところがあるかと言えば解体中だったり。そばを通りかかったら「ご安全に」と声をかけられて、思わずルポ漫画の「いちえふ」の一こまを思い出してしまった。
このブログで民家は晒さないお約束だが、駅前の通りの中にはきれいに外庭が手入れされている家もあったことを書いておく。
日中かなり暖かくなってきた中、消防本部ではレスキュー隊員の訓練が行われていた。
桜のつぼみが膨らみかけた浪江町役場には、東邦銀行の移動 ATM 車が来ていた。
その隣にあるのが復興商店街「まちなみマルシェ」。
入口にLAWSONの看板があるのでどこにあるのかと探してみたら一番奥にあった(ローソンS浪江町まち・なみ・まるしぇ店)。朝9時から夕方5時までで日曜定休というコンビニだが、すぐそばにある国道沿いの別店舗、ローソン浪江町役場前店も朝7時から夜6時までで日曜定休となっている。
ローソン以外のお店は毎日営業しているわけではなく、訪れた木曜日は「きっちんグランマ」という定食屋さんがやっていたので入ってみたが、ほぼ満席だったので、食券を買って弁当を買って出ていこうとしたら、「ゴミの捨て場所が分からなければうちに持ってきてください」とのこと。マルシェ内にベンチがあるので外で美味しくいただいた。でも昨夜睡魔に襲われてからロクな食事をとらずにここまで来た以上、弁当だけではさすがに足らないので、次どこのお店に行こうか。 浪江焼麺太国アンテナショップで焼きそばという気分にならなかったので、やっぱり浜通りなら海の幸か。
海鮮和食処「くろさか」で特選海鮮丼。これも美味しくいただいた。
とまあお腹が満たされたところで、お隣の浪江町役場へ。「浪江町除染及び災害廃棄物等に関する相談窓口」は1階ロビー入って左側で行われていたが、役場なんてよそ者に縁がないなと思って出てこようとしたら、この地図に気が付いた。
上の写真は震災前の空撮に「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」を表示したもの。浪江町の場合、海から概ね常磐線までが「避難指示解除準備区域」、常磐線から常磐自動車道の間が「居住制限区域」、そして常磐道から山間部が「帰還困難区域」だったようだ。
下は2016年11月現在の放射線量率マップ。1マスは500×500メートルで、その中心点付近で計測した値を色別で表示したもの。赤い線は国道。浪江町役場は国道114号と国道6号が交差しているすぐ下になる。これから福島第一原発のある海岸に近付くわけだが、現在の放射線量はきわめて低いことは分かる。
どうもアメブロの1ページの制限に引っかかってしまったようなので、「富岡町・浪江町に行ってきた その3」に続く。